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キッズウィークエンド

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インタビュー

2023.01.09 Mon

# 探究学習

愛してやまない昆虫の魅力を、広く伝えることが僕の使命

愛してやまない昆虫の魅力を、広く伝えることが僕の使命

「めざせ昆虫ハンター」の授業が子どもたちに人気のしゅう先生こと牧田習先生。インタビュー後編では、尊敬する人や訪れたい場所、昆虫に関する最新のトピックス、夢や今後の展望についてお聞きしました。

聞き手:キッズウィークエンド株式会社 代表取締役 三浦 里江


牧田 習先生
昆虫ハンター。1996年、兵庫県生まれ。オスカープロモーション所属。2015年、北海道大学総合教育部入学後、理学部に転部。現在は東京大学大学院(博士課程)に在学中。昆虫ハンターとして、NHK『ダーウィンが来た!』の「ヘラクレスオオカブト 謎の大集結!」の回(2021年1月31日放映)に出演。現在は、『NHK高校講座 歴史総合』(Eテレ)隔週水曜日10:00-10:20に出演のほか、『猫のひたいほどワイド』(テレビ神奈川)水曜レギュラー出演中

コスタリカの探検昆虫学者に憧れる

──しゅう先生が今一番尊敬している方はどなたでしょうか?

探検昆虫学者の西田賢司さんです。1998年に中米・コスタリカに移住された後、長年コスタリカで昆虫の研究を続けていらっしゃる方です。昨年日本に帰国されたタイミングで、初めてお会いすることができました。西田さんのお話はとても刺激的で興味深く、研究やメディアでのご活躍を拝見していると、「楽しく生きることってすごく大切なんだ」と実感します。


行ってみたい場所は日本にも世界にもたくさん!

──しゅう先生が昆虫を探しに行ってみたい場所はありますか。

日本だと、まず気になるのは小笠原諸島です。本土からかけ離れた場所にある小笠原諸島では、独自の生態系があり、固有の生き物がたくさん生息しています。しかし、採集をしてはいけない場所や天然記念物も多いので、しっかりと許可を取って魅力的な昆虫たちを観察しに行きたいです。船の便があまり多くないため、小笠原諸島でしっかり昆虫を観察しようと思うと10日ほど滞在することになります。ロケの許可が下りやすいテレビ番組などのロケで行けたらと願っています。

小笠原諸島以外には、トカラ列島も気になっています。トカラ列島にも固有の昆虫がたくさんいるのですが、その中には、めずらしいオレンジ色のクワガタ「トカラノコギリクワガタ」もいます。こちらも採集活動が規制されている場所なので、許可が必要なため、いつか許可を取って観察しに行きたいです。

メディアと組んだ企画でもし現地に行けたら、その地域の昆虫をはじめ、自然の豊かさを世間に伝えることができる上、僕にとってはめずらしい昆虫を観察できるチャンスになります。また、メディアでその地域の魅力について伝えることで「地域の自然を守ろう」という動きも出てくるかもしれません。自然保護をPRする意味でも、メディアとタイアップできたら面白いですね。


2022年6月にアメリカ・マサチューセッツ州で撮影

──ちなみに、海外で気になる場所はどこですか?

パプアニューギニアとアフリカです。どちらもなかなか個人で行ける場所ではありません。昆虫を専門に研究されている先生ですら、現地に行ったことがある方はなかなかいないのです。

──そうなると、やはりメディアとタイアップすることが必要ですか?

できるに越したことはないと思います。研究者は自分が研究したことを世の中に知ってもらうことも大切です。研究者が論文を書いたり研究発表したりするのも、誰かに研究の成果を伝えるためにしていることですよね。コミュニケーションの一種としてとらえると、研究発表と番組制作というのは、かなり近しいものだと言えます。

また、メディアの力を借りることで、いろんな人の協力も得やすくなります。研究者個人の力では行けない場所に行くことができるし、研究したことを多くの人に伝えることができる。メディアと研究というのはとても親和性があるのではないかと考えています。


2022年6月にアメリカ・マサチューセッツ州で撮影

新種発見より難しい⁉ 「スゴい絶滅種の再発見」が日本で起きた

──先生が注目している、昆虫に関する最新のトピックスはありますか。

2022年夏に発表された「キイロネクイハムシ」再発見のニュースです。この「キイロネクイハムシ」は水辺に生息している昆虫です。僕が生まれたときからずっと国内では絶滅したと思われてきたのですが、滋賀県で発見されました

絶滅した昆虫を再発見することは、実は新種を発見するよりも難しいことが多いです。そういうことが日本で起きたというのはすごいこと。もしかしたらすでに絶滅したと考えられている他の昆虫も、今後見つかるかもしれません。そう思うと心底ワクワクします。

──しゅう先生の夢や、今後の展望をお聞かせください。

「コーカサスオオカブト」や「ヘラクレスオオカブト」のような、大きくてインパクトがある種類で、世界中の誰もがまだ見つけていない昆虫をどこかで見てみたいというのが夢ですね。

また、僕の使命は、“愛してやまない昆虫の魅力”をみなさんに広く伝えていくことだと思っています。キッズウィークエンドでは、リアルタイムで「今ここにこんな昆虫がいます」と実況中継するなど、より躍動感のある授業をしてみたいです。ほかにも、子どもたちと一緒に虫採りをしたり、少人数でトークをしたりするような、距離感の近い授業も企画できれば……と思い描いています。


2020年末、南米・エクアドルで発見した「ヘラクレスオオカブト」

~インタビュー前編はこちら <さかなクンに憧れて昆虫ハンターに。虫採りも人生も目標に一直線>

▶しゅう先生の最新授業「めざせ昆虫ハンター☆昆虫たちの「冬越し」のヒミツに迫る!」<1月29日(日)9:30-10:30、参加費:無料>