ロゴ
LINEロゴ
キッズウィークエンド

キッズウィークエンド

インタビュー

2022.10.24 Mon

# 探究学習

小学生YouTuberの鍵は「子どもらしさ」と「グローバル」

小学生YouTuberの鍵は「子どもらしさ」と「グローバル」

「YouTuberのなり方講座」「マーケティング講座」など多彩な授業を担当されている、すきま先生こと渡辺さき先生。子ども時代のお話や「ITすきま教室」立ち上げの経緯、YouTuberになりたい小学生や親へのアドバイスを伺いました。

聞き手:キッズウィークエンド株式会社 代表取締役 三浦 里江


渡辺 さき先生(すきま先生)
東京都立大学(旧:首都大学東京)理学部化学科卒業。新卒でリクルートに入社し、6年半マーケティング職に従事。在職中に『1週間で基礎が身につくITパスポート』を出版。現在は、YouTube「ITすきま教室」(チャンネル登録7万人:2022年時点)をはじめとした講師業や、フリーナレーター(司会・MC)としてイベント・展示会でも活躍中

学歴の重要性に気付いた中高生時代がターニングポイント

――すきま先生の子ども時代や学生時代のことを教えてください。


子どもの頃からピアノを習っていて、将来はピアニストになりたいと考えていました。「モーニング娘。」のファンで、彼女たちのまねをして踊ることが好きな小学生でしたね。

その後音楽系の中高一貫教育の学校に通っていましたが、中学生の早い段階で「ピアノでは将来食べていけないのではないか」と考え始めました。そこで、いい会社に就職するには学歴が必要だと思い、勉強を頑張り始めたのです。学べば学ぶほど「自分で何かを生み出せるようになりたい」という思いが強くなり、理系の大学に進学して化学を学びました。


開始半年で登録者数1000人、1年で1万人に! 

――YouTubeチャンネル「ITすきま教室」は、どのような経緯で立ち上げられたのですか?


私は大学卒業後に就職し、IT系のWebマーケティングの部署に配属になりました。入社当時、仕事でITの細かい話になったときにエンジニアの人と全然会話ができず、とても苦労しました。「すきま時間でITが学べる動画があったらいいのにな」と思ったことがきっかけで、自らYouTubeを発信することにしたのです。社会人4年目のときに実行に移し、「ITすきま教室」が生まれました。


――「ITすきま教室」が成長するまでの経緯を教えてください。


チャンネル登録者数0から始めたので、最初のうちは動画を公開しても30回ほどしか再生されませんでした。再生数が伸び始めたのは、動画数が増え、「ITすきま教室」の傾向が視聴者に伝わってからです。チャンネル登録者数が1000人になるまでは、半年ほどかかりました。


どんな動画をアップしているチャンネルなのか一目で分かるようになると、チャンネル登録をしてもらいやすくなります。「チャンネル登録者数1000人」が、その後の登録者数が増えるポイントではないかと思います。1000人を超えると、1万人はあっという間。結果、開始1年でチャンネル登録者数が1万人になりました。


――社会人として働きながら「ITすきま教室」を続けられた秘けつはありますか?


最初のうちは、再生数が伸びなくてもいいと割り切って、動画作成を地道に続けたことです。私と同じコンピューターサイエンスの分野で活動されているVTuberのチャンネルが、開始3年で登録者数7000人ぐらいだったんです。マーケットの感覚として「VTuberの動画が3年で7000人に到達するなら、私は3年以内に7000人に到達するだろう」と予測。その数字を根拠にコツコツ頑張っていました。



小学生YouTuberの魅力は、子どもらしいノリにある

――これからYouTuberになりたい小学生へアドバイスをお願いします。


“ありのままの自分”を面白く撮って、それを丁寧に編集するといいのではないでしょうか。小学生がYouTuberごっこをするようなノリは、大人にはまねできない感性ですよね。「小学生らしさ全開の動画にテロップを入れるなどして編集すると、大勢に見てもらえる動画になりそう!」と客観的に見ていて思います。


――YouTuberになりたい小学生に対して、親はどのようなサポートをすべきでしょうか?


個人情報が漏れるのは危険ですよね。荷物のダンボールに書いてある住所や、窓の外の景色などが動画に映り込むと、個人情報が特定されることがあります。子どもが屋外や校庭で撮影するときでも、特徴のある学校の場合は、学校名が分かってしまいます。制服で学校がバレることも考えられます。ですので、「個人情報が漏れていないかどうかの確認」は親がしっかりケアしないといけない点です。


――小学生が動画を撮影する場合、撮影場所や素材に関して注意すべきことはありますか?


屋外であれば、自然に囲まれた場所など、特定されにくい場所をおすすめします。有名テーマパークや文化遺産では撮影が禁止されていることもあります。「撮影OKかどうか」という法律的な観点も、大人がサポートすべきポイントです。


ほかにも、アニメのキャラクターを使用する場合は著作権が関係してくるため、使い方を考える必要があります。BGMに使う著作権フリーの音楽は、フリー素材のサイトで公開されているので、「このサイトの中から使ってね」と教えてあげるといいですね。


――今後小学生がYouTubeチャンネルを作るとしたら、どんなジャンルが狙い目だと思いますか。


先ほどお話ししたように、子どもの日常を撮った動画は面白そうだと思っています。あとは、将来YouTubeを長く続けるのであれば、グローバルな視点で大きなマーケットを狙うことを考えたいですね。例えば、英語の動画や、音楽や美術のようにノンバーバルで伝わる動画など……。世界中の人に見てもらえる可能性があるかどうかを念頭に置くといいでしょう。


小学生の子どもたちがコンスタントに動画配信を続けていけば、おのずと動画数もたまってきます。そうすると、より多くの人に見てもらいやすくなりますよ。今の時点で小学生だと、20年後でも20~30代の若さなので、私からするとうらやましい限りです。


――20~30年後のYouTubeはどうなると考えていますか?


TwitterやInstagramなどのSNSは、最初は著名人が中心に投稿していて、大半の人は見るだけでした。しかし、今や多くの人が自分のアカウントで発信しています。今後は、YouTubeでも自分のことを発信していく人が増えるのでは。近い将来、日記のような感覚で、カジュアルに動画アップすることが当たり前になるかもしれませんね。


▶すきま先生の最新授業「小学生で始めるマーケ講座〜SDGsとビジネスの秘密〜」<11月6日(日)16:30-17:30、参加費:無料>