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キッズウィークエンド

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インタビュー

2023.01.25 Wed

# 探究学習

先生と生徒じゃない。僕らと子どもたちは一緒に実験をする仲間

先生と生徒じゃない。僕らと子どもたちは一緒に実験をする仲間

実験教室サイエンスラボを運営する幼なじみユニット・まっちー先生&りっきー先生。「キッズウィークエンドアワード2022」の先生部門で見事グランプリに輝いたお二人に、小学生時代のエピソードやサイエンスラボ誕生のきっかけ、将来の夢などをお伺いしました。

聞き手:キッズウィークエンド株式会社 代表取締役 三浦 里江


町田大地先生(まっちー先生:写真右)
専門は生物材料化学。農学修士。東京大学大学院で軟骨や皮膚の再生医療の研究を行う。大学院卒業後、大手化学メーカーに入社し研究職に従事後、編集者へと大きくキャリアを変更。現在は、広報責任者としてスタートアップ企業で働く傍ら、実験教室や「10代のときに知っておきたかったこと by U-29×キッズウィークエンド」などの授業をキッズウィークエンドで行う。テニスとオムライスと猫が好き!

田中利空先生(りっきー先生:写真左)
専門は材料工学。工学修士。東京大学大学院で電子顕微鏡の研究を行う。在学中、科学コミュニケーションサークル「CAST」に所属し、主に実験ショーなど派手な科学実験を実演。大学院卒業後はインドに本社を置くIT企業でエンジニアとして働く。コンピューター漬けの仕事の一方、プライベートでは動物、特に鳥が好きで、週末は動物園や公園で動物観察や写真撮影を行う

対照的なタイプだけど、当時から大の仲良し

──お二人は小学生時代、どんなお子さんでしたか。

りっきー先生:
僕は帰国子女で、小学4年生のときにまっちーの家の近くに引っ越してきました。海外生活を経験していることと、生来の性質の両方から来るものだと思いますが、多少周りから浮いているところがあったようです。人気者のまっちーがうらやましかった(笑)。当時から理科が大好きで、科学系のトピックがあれば常にインプットしていました。好きなことをとことん突き詰める性格でしたね。

まっちー先生:
好きなものにまっしぐらなりっきーと比べると、僕はどのジャンルもまんべんなく知ろうとする子どもでした。突出して得意な教科もなければ、苦手な教科もそんなになかったかな。自分が興味を持ったテーマがたまたま理系の分野だったので、大学で研究室に入りました。

僕は性格的にトライアンドエラーを繰り返すことが好きなタイプ。いろんなことをやってみた結果、ワクワクしないものを興味の対象から外して、好きなものにたどり着いた経緯があります。なので、自分にとって不向きなものを見つけることが重要だと考えています。好きなものは多分今後も増えるし、変わる可能性もあるからです。

──お二人は幼なじみということですが、共通の思い出などはありますか。

まっちー先生:
共通の思い出しかないです(笑)。一緒に野球やテニスをしたり、りっきーの家でカードゲームをしたり……。当時からとても仲良しでした。


前列中央がまっちー先生、前列右から2番目がりっきー先生

幼なじみの結婚式がきっかけで誕生したサイエンスラボ

──まっちー先生のお父さまは科学の研究者だとお伺いしていますが、影響を受けていると感じていらっしゃいますか?

まっちー先生:
父の影響は大きいです。一緒に実験をやってくれたり、実験について説明してくれたりしました。小さい頃から父にいろんなことを教えてもらったり、理解するきっかけを作ってもらったおかげで、科学に対する苦手意識を持たずにすみました。

りっきー先生:
うちの父親も、僕が何か質問したら大体のことを答えてくれました。幼少期に、疑問に思ったことがわからないままという経験がほとんどなかったです。

まっちー先生:
地元がつくば市だったということも影響していると思います。周りに研究所がたくさんあって、小学生向けの研究所見学なども開催されていました。環境に恵まれていましたね。

──理系の大学、そして大学院に進学されたお二人がサイエンスラボを立ち上げたきっかけを教えてください。

まっちー先生:
僕はもともと一人で今のサイエンスラボの原型のようなものを運営していました。そのときに、小学校時代の友人の結婚式でりっきーに再会したんです。僕がりっきーに実験教室をしていることを話すと、りっきーが大学時代に実験サークルに入っていたことを教えてくれました。ぜひ一緒にやりたいと思い、お願いしたら快諾してくれてうれしかった。確か、横浜のみなとみらいを二人で歩いているときでした。

今キッズウィークエンドの授業でバラエティー豊かな実験ができているのは、りっきーのおかげだと思っています。僕よりも実験の知識が圧倒的に豊富です。それに、りっきーの実験は切り口がとても面白い。りっきーの貢献が大きいということを、この場でお伝えしておきます。


光の屈折でグラスが見えなくなる実験の準備中の一コマ

りっきー先生:
まっちーの話を補足すると、確かにサイエンスの知識や考え方は僕が担っている割合が大きいと思います。ただ、過去にまっちーがまだ一人でやっていたときの実験の資料は、僕の刺激になっています。実験の構成や、教室で伝えたいことが明確に伝わってくるんです。「理科の実験を自分で試してみよう」というまっちーの姿勢は、勉強になることばかりです。

まっちー先生:
いい意味で、お互いに補完しているんですよね。

子どもたちと僕らは、一緒に実験をする仲間でありたい

──キッズウィークエンドの授業でこだわっている点や、大切にしていることは何ですか?

まっちー先生:
「先生と生徒」みたいな関係性にならずに、あくまでも「一緒に実験をする仲間」という立ち位置でいるよう意識しています。あえて失敗しそうなパターンを本番でやってみるなど、子どもたちが失敗することを気にしないような内容とやり方を心掛けています。また、僕が一方的に実験について話すのではなく、相互にコミュニケーションを取ることが大切だと感じています。

りっきー先生:
僕はある種の“大人げなさ”を大事にしています。「授業で紹介した実験の原理を応用して大人が本気で遊ぶと、こんなことができるんだよ」というところを見せたい。半分くらいは自分の趣味で楽しいからというのもありますが、「授業でやった実験にはまだ先があるんだよ」と伝えることを大切にしています。

まっちー先生:
日常との接点を作るようにもしていますね。「実験は特別な場所や道具がないとできない」という印象は持ってほしくない。なので、家の中にあるものや、簡単に準備できるものを使って実験するところにこだわっています。


摩擦をつかってバランスをとる実験の準備中の一コマ

──今後キッズウィークエンドで取り組みたい授業や、チャレンジしたいことはありますか。

りっきー先生:
インスタグラムのアカウントを作ろうかと考えています。実験の準備をしている様子や、過程をお見せできたら面白いですね。授業の中では、参加した子どもが試した内容をみんなに紹介するコーナーを設けてみたいです。僕たちと子どもたちだけではなく、子ども同士のつながりやコミュニケーションの場を作れたらいいなと思います。

まっちー先生:
実験の質問に対して回答するタイミングをもっとたくさん作りたい。「なぜこれが起こるのかわからない」という子どもたちに、「理由がわかったから苦手意識が消えた」という、僕らと同じ体験をしてもらいたいんです。

また、りっきーの意見同様、子どもたち側から意見を吸い上げたり、実験の結果を共有したりする場ができたらすごいと思います。例えば、実験をきっかけに誰かが「こんなコンテストやりたい」と発言したら、みんなでそのコンテストを開催し、そこに僕とりっきーも参戦するなど……。そういった流れができると、相乗効果が生まれそうですよね。

将来の夢は、やりたいことを全力でできる学校作り

──最後に、お二人が思い描く今後の展望や夢を教えてください。

まっちー先生:
僕は将来学校を作りたいです。今の学校で習わないような実験やアート、音楽など、未知の内容が体験できる。そして、質問したら教えてくれる大人や、やりたいことをサポートしてくれる仲間がいるような場所を考えています。自分がやりたいと思ったことを全力でやって良い場所を作りたいです。

りっきー先生:
僕も同意見です。リアルでもオンラインでも、気の合う仲間と交流できるコミュニティーがあるといいですよね。あとは、参加してくれたみんなの記憶に残る授業をしたい。実験で使ったものとよく似たコップを見たときに、「サイエンスラボでこんな実験があったな」と思い返してくれる子どもが一人でも増えたらうれしく思います。



まっちー先生&りっきー先生の最新授業「【学校じゃ習わない】"最強の"飛行機を考えよう!」<2月19日(日)9:30-10:15、参加費:無料>