.png)
キッズウィークエンド
2025.12.09 Tue
子どもの「目の健康」をどう守る?参天製薬×キッズウィークエンドが1500人に届けたオンライン授業

子どもの視力低下が気になるご家庭が増えています。そんな中、眼科領域に特化したグローバル製薬企業の参天製薬株式会社(以下、Santen)では、子どもたちや保護者に目の大切さを伝える「目を大切に!ハッピーアイチャレンジ」と題した取り組みを実施しています。2025年7月にはキッズウィークエンド社との連携により、全国の子どもたち約1500人に向け、初のオンライン授業を開催しました。
この取り組みは、自宅や学童施設でも学びが広がる温かなプログラムとして、保護者からも多くの反響を集めました。その成功の裏には、どんな工夫や思いがあったのでしょうか。基本理念・サスティナビリティ本部 基本理念・CSV推進部リーダーの柳井亜由美さんにお話を伺いました。
増える子どもの近視「目の大切さを知ってもらいたい」

「目を大切に!ハッピーアイチャレンジ」はどのような取り組みなのでしょうか?
柳井様:子どもたちが自分の目の仕組みや働きを学びながら、生活の中でできる目のケアを楽しく学ぶことができるプロジェクトです。
Santenの社員が先生として学校授業や子どもの居場所などで実施する授業に登壇し、子どもたちとともに「目の健康の大切さ」について学び、考える体験型の授業を届けてきました。2025年春にスタートし、キッズウィークエンドさんとの取り組みを含め、これまで9回にわたって開催しました。
Santenとして社会に貢献する中で、子ども向けの啓発に注力されたのはなぜでしょうか?
柳井様:私の所属する基本理念・サスティナビリティ本部ではこれまで、視覚障がいのある方を支援する活動やボランティアを行ってきました。一方でもっと広く「目を大切にする気持ち」を社会に届けたいという思いがありました。
最近はスマートフォンやタブレットを使う時間が長くなり、子どもの近視が増加しています。日本では、文部科学省が実施した学校保健統計調査で、裸眼視力1.0未満の者の割合は2024年度調査では、小学校で36.8%という結果が示されており、私たちもこの現状を深刻に受け止めていました。
Santenとして何かできることはないかと考えたとき、「薬を届ける前に、正しい知識を伝えること」が大切だと思ったのです。そこで、子どもたちが楽しく学べる方法で目を大切にする文化を広げていこうと考えました。
キッズウィークエンド社との取り組みはいつ頃から始まったのでしょうか?
柳井様:これまでは小学校や児童館で出前授業を行い、手応えを感じていました。ただ、参加できる人数が1回に20人程度であり、どうしても届けられる人数に限界がありました。
「もっと多くの子どもたちに伝えたい」と思っていた2024年6月ごろ、キッズウィークエンドさんからお問い合わせをいただきました。キッズウィークエンドさんが得意とするオンライン開催なら、地域を超えて多くの子どもたちに届けられると感じました。
約半年の打ち合わせを経てオンライン授業を実現

キッズウィークエンド社とオンライン授業を開催するにあたって、懸念点はありましたか?
柳井様:医療用医薬品は一般の方向けに宣伝してはいけないというルールがあります。そのため、「薬」や「治療」を連想させる表現は使用できません。私たちが目指したのは「お薬を宣伝する活動」ではなく、「QOLに大きく関わる“見る”ことの大切さを子どもの頃から学び、多くの人々が一生健康な目でいられるような社会」をつくることでした。
企画の初期段階から、キッズウィークエンドさんとはコンプライアンス部門や事業部を交えて、何度も話し合いを重ねました。「薬」や「治療」を連想させる表現を避けつつ、どのように“正しい行動を促す学び”を届けるかを検討しました。
約半年間にわたり7〜8回の打ち合わせを行い、最終的に「目に不安を感じたら眼科へ」というメッセージで統一しました。この言葉には、専門家に相談することの大切さを伝えたいという思いが込められています。キッズウィークエンドさんは、製薬企業ならではの規制を理解したうえで、子どもたちに伝わりやすい授業づくりを一緒に考えてくださいました。
授業のコンテンツ制作については、どのような工夫をされたのでしょうか?
柳井様:最も意識したのは、できるだけ多くの子どもに参加してもらうこと、そして学びを家庭にも広げることです。そこでキッズウィークエンドさんには、「1,000人以上の子どもの参加」と「保護者にメッセージが伝わるかを可視化するためのアンケート実施」をお願いしました。
これを実現するため、授業内に3つのミッションを設け、そのうち1つを「おうちでやってみよう」としました。さらに、授業後には、子どもたちに「目の健康ヒーロー認定証」を配布し、その裏面に保護者向けのリーフレットを添付しました。リーフレットには、家庭で簡単にできる視力チェックの方法や日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすくまとめています。

参加者は予想を上回る1500人。アンケートの回収率も通常の倍
2025年7月に初めてオンライン授業を開催されたとのことですが、雰囲気はどのような様子でしたか。
柳井様:子どもたちはとても素直で反応も豊かでした。一方的に教えるのではなく、子どもたちの好奇心を引き出すことを大切にしたことで、授業中に、「目はどんな働きをしているの?」「どうしたら目が悪くならないの?」と積極的に質問してくれる子もいました。
社内からの反響も大きく、「自分の子どもにも受けさせたい」という声が多く寄せられました。実際に社内ファミリーイベントでも同じオンライン授業を実施しています。間接部門に所属する社員からも「自社の活動を誇りに思う」といった感想があり、嬉しく感じました。
この取り組みを通じて、社内でも「社会にどのように貢献できるか」を考えるきっかけが生まれました。

取り組みの成果について、具体的な数字を教えてください。
柳井様:初めての試みでしたが、全国から約1,500人の子どもたちが参加しました。これまでの出前授業の規模を大きく上回るもので、想像以上の反響でした。
また、授業後に実施した保護者アンケートの回収率も33%ととても高かったです。これは一般的なアンケートの回収率の倍以上の結果です。特に自由記述では「家でも子どもと話題にした」「親子で一緒に生活習慣を見直した」など、行動変容につながるメッセージも多く、とても達成感がありました。
キッズウィークエンド社の支援のなかで、特に「助かった」と感じた点はありますか?
柳井様:成功の背景には、やはりキッズウィークエンドさんの手厚いサポートが要因として大きかったです。Santenの思いをしっかり理解してくださり、学童施設や学校の先生方にも丁寧に説明してくださいました。そのおかげで、一度に30か所以上の施設で合計1500名の子どもに向けスムーズに実施することができました。
オンラインというと、集中力を維持するのが難しい印象がありましたが、キッズウィークエンドさんの授業設計の工夫や司会進行のおかげで、子どもたちも集中力を切らさず楽しい授業をすることができました。

今後、どのような展望をお持ちですか?
柳井様:今後は、より多くの地域や施設でオンライン授業をはじめとした「目の健康の大切さ」を理解してもらえるような取り組みを広げていきたいです。また、授業を受けた家庭の行動変化を追跡し、啓発が実際の行動につながっているかを検証していきたいと考えています。
その展望にあたり、キッズウィークエンド社に特に期待していることはありますか?
柳井様:現在、子どもの出生数は約70万人です。その全員が毎年このオンライン授業に参加するなど、日本中の子どもたちと周囲の大人たちが「目の大切さ」を早い段階で学ぶことができるよう、一緒に取り組みを継続していきたいと考えています。
最後に、キッズウィークエンドはどのような企業におすすめしたいですか?
柳井様:自社の事業領域で社会課題の解決に取り組みたい企業や、医療業界のように子どもへの啓発活動を通じて親子の意識や行動変容を促したい企業にも活用いただけると思います。

